俺の思いは…
「タケェ……」
「ちょっ!?どうしたのっ?」
「ふわぁぁぁんっ!!」
突然、が抱きついてきて、
俺の腕の中で、大声をあげて泣き出した。
「うっ……っ……うぅ……っ」
「!?何があったのさっ!?」
は俺の幼馴染で、
ずっとずっと、俺が好きだった女。
「今日……に………っ……告白されたのぉ………っ」
えっ・・?
告白、されたの・・?
「だけど……私の親友が……ずっと前からのこと好きで………っ」
「そのこと……私知らなくて……っ………告白された事言ったら……なんか避けられちゃって……っ」
「タケェ………っ私…どうすればいいの………っ?」
目を真っ赤に腫らして、は俺に尋ねた。
はすっごく友達思いだから、きっと一日中泣き悩んだんだろう。
「は、誰が好きなの………?その……『』って奴…?」
「………………うん。」
すっげぇ、ショックだった。
の一番近くに居たのは、
『幼馴染』って理由だけど、
俺、だと思ってた。
だけど、それ以上でもそれ以下でもなくて、
勝手に、俺がに恋して。
けど、やっぱりにとって
俺はただの幼馴染で、
多分、隣に居るのが当たり前の存在なんだと思う。
「気にすんなよ。親友の事なんて。」
「でもぅ…」
「親友なんだろ?解ってくれるって。」
「すこし、嫉妬しただけなんじゃねぇの?」
俺今、笑ってるかな?
いつもの顔で、ちゃんととしゃべれてる?
「そう…かな…っ?」
「そうだよ。」
「親友だろ?」
そうやって笑う俺は、
自分で言うのもなんだけど
スッゲー虚しい。
「ありがとう、タケっ。」
その笑顔が見たいから。
俺は、自分の気持ちを押し殺して
の恋を応援できるんだ。
「本当に、ありがとう。今度また合コンセッティングしてあげる!」
合コンなんて、別にどうでもいい。
ツッチーたちが喜ぶだろうケド、
俺は、が好きだから。
自分の好きな人には、好きな人がいて、
自分の好きな人はその人と両思いで。
自分の好きな人に、合コンをセットしてもらうのって………
スッゲー虚しくない?
だから、俺はをキッパリと諦めることにした。
告白して、キッパリと断られよう。
そうやって、が「」って奴のことが好きなのを知って
直ぐに、決めた。
「あ…あのさ、。」
「なに?好みのタイプとかある〜?」
「そ…そうじゃなくて、さ。」
「何?」
「俺っのことが好きだっ!」
きっと、今こんな事を言うと
はすっごく困るだろう。
そして、俺をキッパリと振るだろう。
「っ………ごめん。」
嗚呼、やっぱり。
わかってたけど、かなり辛い。
「ごめんな、。合コン、頼むよ。」
「えっ、あ、うん。わかった。」
振られて直ぐに、合コンっていうのもどうよ。
とかさ、思うかも知んないけど。
俺としては、早く、を好きだというこの気持ちを忘れたいわけ。
…多分、忘れられないと思うけど。
「タケ。」
「ん?」
「ごめんね、あと………
好きになってくれて、ありがとう。」
「―――――オウ。」
その言葉に対してオウってどうよ、
とかさ、言わないでな。
俺だって、さ。
もうちょっと気の利いた言葉を、返したかったんだから。
「今日はありがとう。それじゃぁ………」
はそう言って俺の部屋のドアを
パタンと閉めた。
「畜生っ!!誰よりもの傍に居たのは俺なのにっ!!」
振られると、わかっていた。
そのことを、承知で告白した。
だけど残ったのは、やっぱりへの思いで。
どうしようもないけれど、叫んで。
俺、今最高にカッコ悪いわ………。
だけど、これで諦められる。
これだけ、叫んで、虚しい思いをしたら。
へのこの思いは、忘れられる。
――END